私の情報発信や日々の議員活動などをブログに掲載しています。
冷たい雨の中ですが、3月26日に大和商工会議所の第60回常議員総会が行われました。。会頭挨拶、市長、市議会議長の挨拶のあと、商工会議所のビジョン案、令和6年度の事業計画、収支予算書等の審議が行われましまた。そのあと大和お店大賞の表彰式がありました。終わってから、情報分科会の行事で
⇒〔14番(渡辺伸明議員) 登壇〕
○14番(渡辺伸明議員) おはようございます。自民党・新政クラブの渡辺伸明です。通告に従い質問してまいります。今回は大項目1として、大和市の行財政運営と歳入拡大について一括してお聞きします。
昨年の6月定例会において2016、2017、2021年度の3か年のデータを基に質問しました。今回は2012年度から2021年度までの過去10年間の決算カードデータを踏まえ質問いたします。比較対象として、いずれも神奈川県内の施行時特例市である小田原市、平塚市、茅ヶ崎市、厚木市の4市を対象とし、住民1人当たりの金額で比較しています。
最初に、お手元に配付させていただいた表1の歳入比較を御覧ください。地方税全体は4市平均に対し、10年間ほぼ0.9前後の低い水準で推移しています。その中で個人市民税は1.02以上を保っており、令和3年度は1.04前後の水準です。
一方、法人市民税は従前0.8前後でしたが、近年は0.5前後と低迷しています。固定資産税は0.81とほぼ同水準で推移しています。歳入合計は近年0.9前後となっています。
次に、表2の目的別歳出については、民生費が1.05前後と4市と比べても高い水準で推移しています。教育費、衛生費も高い水準です。反対に、土木費、総務費、消防費、商工費は低い水準で推移しています。消防費については新たな人員確保の予算などで水準が上向くと思いますが、土木費、商工費は低い水準と言わざるを得ません。
性質別歳出については、扶助費は近年においても1.08前後と高い水準ですが、人件費は0.8前後と低い水準で推移しています。人件費については、令和6年度予算では、職員定数増加や任用職員の勤勉手当創設で多少水準を上げる可能性があります。
次に、表4の10年間の伸び率ですが、歳入では地方税の伸び率が低迷しています。また法人市民税の伸び率が低いのも目立ちます。固定資産税の伸び率も4市と比べるとやや見劣りします。また目的別歳出では、民生費、教育費の伸び率が高い一方、土木費、総務費、商工費が4市と比べて伸び率が低くなっています。性質別歳出では、扶助費の伸び率が高くなっています。一方、維持補修費は10年前と比べて大きく低下しています。
次に、表5を御覧ください。財政健全化に関するデータを整理しました。最初に、経常収支比率は、定期的に入ってきて自治体の裁量で自由に使える財源である経常一般財源に対して、人件費や扶助費など、毎年必ず支出しなければならない経常経費の割合を示したものです。この数値が低いほど投資できるゆとりがあると言われています。一般的には80から90%は弾力性がやや少ない、90から100%が弾力性に欠ける、100%以上が硬直化の水準と言われています。直近の2021年度は0.922でしたが、2017年度から2020年度までは0.98以上と非常に硬直した状況でした。ちなみに類似都市4市の平均は0.91から0.92前後となっています。さらに今年度予算でも人件費と扶助費が増大し、危険水域の1.0に近づいていると推測しています。地方債は4市と比べ低い水準と言えますが、2015度以降漸増傾向にありました。しかし、2024年度末の市債残高は、2023年度末より約27億3000万円少なくなるとの見通しです。
次に、実質公債費比率です。これは一般会計や病院事業会計などの公債費に対する標準財政規模の割合です。早期健全化基準は25%ですが、警戒ラインは15%と言われています。実質公債費比率は、大和市は直近で2.8%と低い水準にあり、4市平均と比べても安定的な水準と言えます。
その次は将来負担比率です。将来負担比率は、将来支払っていく可能性のある前年度の地方債残高や、一般会計から他の会計の元金償還に充てる繰出金など、自治体が抱える様々な負担の残高を指標化し、標準財政規模で割った値です。将来、財政を圧迫する可能性の度合いを示す指標と言えます。この将来負担比率の早期健全化基準は350%となっていますが、大和市は34.5%となっており、4市とほぼ同水準です。しかし、近年数値が増加傾向にあることは心配です。
次に、財政調整基金は、住民1人当たりに換算した数値では、ここ10年間、ほぼ2万5000円前後で推移しています。これを類似都市と比較すると、4万円の4市平均よりやや低い値となっています。
以上のデータから大和市の財政の特徴を整理すると、次の点が浮かび上がってきます。
1番目に、大和市は全体的に総括すると、長い間、地方税などの歳入の伸びが十分でなく、このような状況を補うために歳出において人件費、総務費、土木費、商工費などの歳出を抑えて歳入不足を補う財政運営を行ってきたと考えます。
2番目に、歳入は個人市民税に大きく依存し、令和3年度は44.1%を占めています。しかしながら歳入が低い傾向は継続しており、4市平均に比べ住民1人当たり0.9前後の水準です。この歳入の低い大きな原因は、法人市民税、固定資産税の歳入が少ないことが挙げられます。
3番目に、歳出を見ると、目的別歳出では、健康都市やまとを中心とした施策に重きを置いてきたこともあり、民生費、教育費の高い水準が継続しています。性質別歳出では、圧倒的に扶助費が高い水準となっているのが目立ちます。反対に、人件費、維持補修費、積立金が低い水準が継続しています。
4番目に、10年間の変化を見てみると、歳入面では10年間で法人市民税の減少が目立ちます。一方、歳出面では、従来も比率が高かった民生費や教育費、衛生費が4市と比べても10年間の伸び率が高くなっています。反対に人件費の伸び率は、住民1人当たりの数値ですが、10年前に比べ0.95の水準となっています。
5番目に、健全化データの中では経常収支比率は2019年度が0.997で1.00に近づき、2021年度は0.922でしたが、2022年度は0.968となり、さらに2024度の予算では義務的経費が増大し、硬直的な財政運営を余儀なくされています。このままでは新たにまちづくりや産業振興に投資できる余地は限られています。別の言い方をすれば、扶助費等の義務的経費増大を補うために将来の税収増大につながる商工費、土木費を削減し、その結果、歳入不足の状況が継続する負のスパイラルに陥っているとも言えます。
以上のデータを基に、中項目1として、大和市の今後の行財政運営について質問します。
最初に、中項目1の小項目1として、大和市の長期財政収支予測と行財政改革についてお聞きします。大和市でも経常収支比率の上昇を踏まえ、長期財政収支の検討を行い、併せて行財政改革を早急に行うべき待ったなしの段階に来ているのではないかと考えます。新たな施策の予算に回す余力のない状況に陥っている現状を受け止め、思い切った資産リストラや赤字事業の切り離し、公共用地の貸出し、事務事業の見直し、経費節減の一層の取組などの行財政改革に取り組む必要があります。これは短期的には次年度以降の投資的資金を捻出するためにも、さらに中長期的には歳入不足を見通した上で歳入拡大、大胆な歳出削減を行い持続可能な行財政運営を行うためにも絶対必要です。
そこで、改めて小項目1として、大和市の長期財政収支予測を含む行財政改革プログラムの作成に取り組む必要があると考えますが、市長の考えをお聞かせください。
次に、小項目2として、扶助費などの義務的経費拡大は、他都市も同じ課題を抱えています。大和市においても今後も扶助費などの義務的経費は増大していくと思われますが、施行時特例4市に比べても高い比率と伸びが継続している状況について市長の考えをお聞かせください。
次に、大項目1の中項目2として、歳入拡大についての政策提言を行います。
表1で示したように、固定資産税と法人市民税の歳入拡大が今後の大和市にとって大きな課題と言えます。そこで、法人市民税及び固定資産税やその他の費目の歳入拡大についてお聞きします。法人市民税は市内企業の活性化、企業の流出防止、企業誘致及び創業支援などの産業振興策、固定資産税増加のためには、民間企業の開発投資などを呼び込む都市戦略やまちづくり、さらには民間への働きかけなどによる開発プロジェクトの誘致などが考えられます。そのための提案として、最初に、固定資産税増収につながる高さ規制の現状と地下構造物への防衛予算適用についてお聞きします。
先ほど述べましたが、住民1人当たりの固定資産税が少ないことの原因は、市域面積が少ないこともありますが、市内の経済活動が停滞し、建物の更新が進んでいないことが大きいと考えられます。大和市駅周辺の建築物の法定容積に対する充足率のデータはありませんが、航空写真で見ると明らかに低い充足率と思われます。また、表4の10年間の固定資産税の伸び率が4市に劣っていることもその考えを裏づけるものと思われます。
皆様御承知のように、大和駅周辺においては、航空法により海抜107メートルの高さ規制がかけられています。大和駅周辺は海抜62メートル前後なので、45メートルの建物しか建てられないことになっています。厚木飛行場が存在することによって、この高さ規制が大和市の経済活動を制限する一因とも言えます。
私は昨年6月の一般質問で、大和市内の建築物高さ制限について質問しました。これも高さ規制が緩和されれば、再開発や新たな開発プロジェクトが誘導され、地域経済活性化につながり、固定資産税の歳入増加につながるという考え方に基づいてお聞きしたものです。そのときの答弁としては、この高さ制限の緩和について、様々な可能性や手法等を探りながら積極的に取り組んでまいりますとのことでした。
そこで、中項目2の小項目1として、その後の高さ規制緩和への取組状況と今後の取組方針をお聞かせください。
次に、民間開発等に対する高さ規制による不利益を解消する案について質問します。現在の交付金対象は、具体的には特定防衛施設周辺整備調整交付金が挙げられます。この対象施設、事業については表6に示していますが、公共用の施設、ソフト事業がほとんどです。民間建物については、住宅防音工事のみと言ってよいと思います。
また、6月の一般質問の高さ規制緩和に対する答弁の中で、様々な影響や負担に見合うよう、交付金制度の創設など国が行う周辺対策の拡充を求めていると述べています。しかしながら、住宅以外の民間施設は高さ規制が緩和されない限り、依然建築活動が制限されたままとなっているため、土地所有者にとっては経済的不利益をこうむっている状態が継続していると言えます。
そこで、一定のまとまりのある敷地、あるいは共同開発する敷地を対象に、法定容積を充足する場合、あるいは割増し部分の地下部分の工事費を補助する制度を国に提案して認めさせることが考えられます。
以上を踏まえて、中項目2の小項目2として、高さ規制緩和への取組と合わせて防衛省予算を活用して、民間建築に対して容積を充足、あるいは容積割増し部分の地下部分の工事費を補助する制度を国に提案することへの考えについて市の考えをお聞かせください。
次に、法人市民税の歳入拡大に関する提案について質問します。法人市民税を増加させるためには大きく4つの考え方があります。1番目は市内企業の活性化です。2番目は市外からの企業誘致です。3番目は新たな企業の創業支援により事業所数を増やすことです。4番目は市内企業の流出抑制です。企業活動振興条例は、この1番目と2番目に該当します。昨年6月定例会で企業活動振興条例の近年の認定件数が少なくなっていることが明らかになりました。現在の企業活動振興条例の対象は新規立地奨励金、事業拡大奨励金でそれぞれ上限額が1億円、設備投資奨励金は上限額5000万円となっています。対象企業は日本標準産業分類に掲げる大分類Eに分類されている事業製造業及び情報通信業、自然科学研究所となっています。また、ロボット産業は、大和市がロボット産業特区に指定されていることもあり、2倍の奨励金となっています。
しかしながら、社会ニーズや成長産業の時代変化を反映して、条例の対象となる業種の拡大や奨励金の内容などを見直す段階に来ていると考えます。神奈川県は企業誘致対象業種であるエネルギー関連産業、先端素材関連産業、先端医療関連産業、IT/エレクトロニクス関連産業、輸送用機械器具関連産業などを戦略産業に指定しています。厚木市でも平成28年度から、戦略産業として環境、エネルギー、医療福祉、防災、食品、流通、情報関連産業を明示して支援策を拡大しています。大和市でもこのようにロボット産業だけでなく、戦略産業を誘致対象として明示し、支援策を拡大することも重要と考えます。
そこでお聞きします。小項目3として、大和市の企業活動振興条例の対象業種を拡大し、さらに利用しやすい制度設計を行うべきと考えますが、市長の考えをお聞かせください。
次に、大和市内事業所、企業の流出防止についてお聞きします。土地取引に関して、国土利用計画法基づく届け出以外に、大和市では、現在、土地取引6か月前以内に、大和市開発事業の手続及び基準に関する条例第8条第1項の規定により、5000平方メートル以上の土地取引を行う場合には、事前に市への届出が必要となります。大規模土地取引行為の届出は、周辺のまちづくりに及ぼす影響が大きい大規模な土地利用転換の動向を早期に把握することと、土地取引に際して市があらかじめまちづくりの方針等を伝えることにより、取引後の適正な土地利用を誘導することを目的とした制度です。厚木市では、大規模土地取引行為の届出対象を、現行5000平方メートルから3000平方メートルに引き下げると同時に産業用地創出奨励金制度の創設を行いました。具体的には、準工業地域、工業地域及び工業専用地域の特定誘致地区及び一般誘致地区において、条例適用企業等に3000平方メートル以上の土地を売却または事業用定期借地権を設定した土地所有者に産業用地創出奨励金を支給するものです。簡単に言えば、従来工場等であった土地を、引き続き戦略産業等に売却または賃貸した地主に奨励金を支給するもので、住宅やマンション事業者に売却した場合は支給されていません。言うなれば市内からの企業流出を防ぐための制度とも言えます。
そこでお聞きします。小項目4として、大和市においても大規模土地取引行為の届出制度と併せて産業用地創出奨励金制度の創設を行うことを提案しますが、市長の考えをお聞かせください。
以上は企業活性化のための施策ですが、新たなサービス、新製品開発も重要な課題です。現在、地方自治体が主導するオープンイノベーションは、近年、着実に増加傾向にあります。地方が抱える課題の解消、新たな産業の創出、地方の活性化、ベンチャー企業応援型など、その目的も様々ですが、課題を解決できる企業を公募するなど、目的や支援の形を明確にしている点が特徴的です。
そこで、小項目5として、大和市における地域課題解決、新たなサービス、新製品開発などの企業を公募して支援する制度を創設することを提案しますが、市の考えをお聞かせください。
以上で大項目1の質問を終わります。
○議長(小倉隆夫議員) 答弁を求めます。―市長。
〔古谷田 力市長 登壇〕
○古谷田 力市長 渡辺議員の御質問にお答えいたします。
1番目、大和市の行財政運営と歳入拡大について御質問がありました。1点目、大和市の今後の行財政運営についての1つ目、長期財政収支予測を含む行財政改革プログラムの策定についてと、2つ目、扶助費などの義務的経費拡大についての見解は、関連がありますので一括してお答えをいたします。
少子化と高齢化が同時に進行する社会状況の中で、子育て支援に関わる事業費や生活保護などの社会保障関連経費の増大を背景に、今後も扶助費は増加していくものと見込まれます。一方で、その財源となる税収については、生産年齢人口の減少などにより楽観視できない状況であり、扶助費の増加が財政に及ぼす影響は、本市のみならず全国共通の課題となっております。本来、社会保障制度は、その在り方を含め、国政レベルの議論が必要と考えますが、方向性が示されない中では、現行制度の継続を前提として真に必要な経費を精査することで、持続可能な行政運営を行っていくことが首長の務めであると考えております。
我が国の人口減少は歯止めがかからず、その影響が懸念される状況にあって、財政の健全化目標に加えて、組織や事業の見直し、公共施設の適正配置などを横断的に管理する行財政改革プログラムを策定している自治体があることは承知しております。
これまで本市では総合計画における実施計画の中で、向こう3か年の各種事業の方向性や歳入歳出の見通しを明らかにしつつ、市政運営を行っております。また、行政改革大綱、定数管理計画、公共施設等総合管理計画など、それぞれの計画を進行管理しながら、その内容についても実施計画に反映しています。また、現在、令和7年度を始期とする新しい総合計画を策定しており、並行して、今議員の御提案どおり、事務事業の見直しをしっかりと進めてまいります。これは、新たな総合計画の実効性を高めたり、その時々の社会経済状況に応じた事業を着実に実施したりするための財源の確保を増やすものであり、地域経済やまちづくりの推進にも関わるものです。行財政改革プログラムの策定については、こうした取組の進捗や新しい総合計画の進行管理を行っていく中で、その必要性を見極めてまいりたいと考えております。
2点目、歳入拡大につながる政策提言についての1つ目、高さ制限緩和への取組状況と今後の方針についてお答えをいたします。
昨年6月の渡辺議員の一般質問にもお答えしましたとおり、航空法による建築物等の高さ制限は、航空機の安全な飛行を確保するために法で定められたものでございますが、国内の一部民間空港周辺では、国の規制緩和に係る特区制度を活用し、具体的な地区計画と並行して、一定条件の下、高さ制限の特例承認が行われ、高層建築物の建設が行われていると承知しております。しかしながら、厚木基地は米軍と自衛隊が共同使用する軍用飛行場であり、その高さ制限の緩和については、国や米軍等との調整や、航空機及び基地周辺住民の安全確保の徹底など、多方面への様々な配慮が必要なことから、今後も引き続き、魅力あるまちづくりに向け、様々な可能性や手法等を探りながら、積極的に取り組んでまいります。
2つ目、高さ制限緩和と合わせた防衛補助制度創設に係る国への提案についてお答えをいたします。
国は、防衛施設から生じる騒音などの障害防止を図るため、法に基づき、地方自治体への補助金交付など、各種周辺対策を行っておりますが、その中で飛行場周辺地域に課される高さ制限を補う考え方や補助制度はございません。そのため、本市では国に対し、大和市基地対策協議会の要請活動等を通じて、高さ制限により生じる経済的、財政的損失を補うよう、新たな交付金制度の創設等を求めているところでございます。議員御提案の容積率の充足や割増しの地下部分の工事費に対する防衛補助制度の創設を求めることにつきましては、本市が抱えるまちづくりの課題や社会情勢の変化等も踏まえ、引き続き国に対し様々な観点から防衛補助制度の見直しを図るように求めてまいります。
その他につきましては関係部長が答弁をいたします。
○議長(小倉隆夫議員) 続いて、補足答弁を求めます。―市民経済部長。
〔佐藤則夫市民経済部長 登壇〕
○佐藤則夫市民経済部長 3つ目、企業活動振興条例の対象業種についてお答えいたします。
本市では、平成30年4月に施行した大和市企業活動振興条例により、本市への進出を希望する企業や、事業拡大に取り組む市内企業を支援するための奨励金制度を開始し、現在、その対象を製造業、情報通信業、自然科学研究所の3業種としております。その後、令和3年7月に条例の一部を改正を行い、交付要件を緩和し、奨励金の上限額を引き上げたほか、ロボット産業への優遇措置を設けるなど、制度の充実を図ってまいりました。本条例が定める内容については、経済状況の変化等に合わせた柔軟な対応が求められるものであり、奨励金の対象業種の見直しについても検討していきたいと考えます。
4つ目、産業用地創出奨励金制度の創設についてと、5つ目、オープンイノベーション制度の創設については、関連がありますので一括してお答えいたします。
本市が行う企業誘致においては、産業用地の確保が大きな課題であり、御提案の奨励金制度は有効な用地確保策となり得る手法であると認識しています。また、オープンイノベーション制度については、神奈川県がオープンイノベーション促進事業として、ビジネスアクセラレーターかながわを実施しており、一定の成果を上げているものと認識しております。両事業のみならず、他の自治体等で先進的に取り組まれていたり成功を納めていたりする事業に対しては、本市においても同様のニーズがあるか、本市で実施可能な事業内容か、財政面をはじめ様々な切り口から検証し、今後の事業展開の参考としていきたいと考えます。
○議長(小倉隆夫議員) 発言を許します。―14番、渡辺伸明議員。
〔14番(渡辺伸明議員) 登壇〕
○14番(渡辺伸明議員) 御丁寧な答弁ありがとうございました。総じて、かなり前向きな答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。今回の一般質問は、私個人の考えとして、行財政運営の持続可能性や将来の活気ある大和市の未来に大きな期待を抱いて質問させていただきました。
繰り返しになりますが、2019年の3月定例会で私の一般質問で取り上げた財政危機に陥った逗子市のヒアリング結果を再び御紹介します。
逗子市が、最初に、2008年以降財政悪化の悪循環が始まり、税が減っていくにもかかわらず一度始めた住民サービスは止められないため、ますます悪循環が拡大したとのことです。さらに大規模な学校改修事業などが重なり、市債の償還が2008年度以降重荷になっていったとのことです。その結果、当初予算で歳入を多少多めに見込み、さらには財政調整基金を当てにして取り崩す予算建てをして、決算では取り崩した財政調整基金に余剰金を積む予算構造となっていましたが、余剰金が年度で徐々に少なくなったため、結果として財政調整基金も徐々に減少していったようです。その後、2016年度決算では余剰金が出なくなり、当初予算の財政調整基金の取崩し分は5億円であったので、残り1億円となってしまい、その結果、補正、積立ての財源をどうするか、問題が顕在化したとのことでした。そのときは市有地売却などでやりくりしたようです。2017年9月に2016年度決算が明らかとなったため、2017年11月から緊急対策として財政対策プログラムを立ち上げました。対策プログラムの検討は、緊急性が高く、時間がなかったので、財政課を中心に内部で行ったようです。人件費の削減や扶助費の削減など、事業ごとに市の単独事業で行っている事業などを中心に洗い出し、2018年度から全て休止しました。全体の事業費はその結果10%程度削減したとのことです。ちなみに2016年度の経常収支比率は1.015でした。しかし、直前の3年間は0.96から0.98で推移しています。その結果、現在の逗子市は2021年度決算では、財政力指数が0.83、経常収支比率が0.856、住民1人当たりの財政調整基金は大和市の2万5000円を上回り、約4万円と急回復しています。
さて、答弁に戻りますが、長期財政収支予測を含む行財政プログラムの作成に取り組むことに関しては、総合計画策定や事務事業の見直しを進め、その時々に応じた財源確保を目指すとのことでした。その中で、地域経済やまちづくりの推進にも取りかかれる財源確保も目指すとのことでした。期待どおりの答弁で非常に頼もしい限りであります。
しかしながら、若干の不安を申し述べますと、総合計画策定や事務事業の見直しによる財源は年々増大する扶助費に回さざるを得ず、また、歳入の大幅な増加は見込めない状況の中で、結果として地域経済やまちづくり予算の確保に回らない危惧があります。ちなみに表4の伸び率から推計すると10年間平均で民生費は年率5%、扶助費は年齢6.4%前後の伸び率であり、令和6年度の民生費予算の448億円に対し、その平均伸び率を掛け合わせると22億円、扶助費は20億円以上毎年増加することになります。近い将来に、大和市も逗子市のように、大胆な行財政対策プログラムを立ち上げて、悪循環から脱却する大きな政治判断をせざるを得ない状況に陥る可能性もあります。そのような危機意識を持って、市長及び市職員、さらには大和市議会も今後の政策に取り組む必要があると改めて申し上げます。
次に、中項目2で将来の歳入拡大に向けた取組について質問しました。高さ規制緩和の非常にハードルが高いことは理解できますが、大規模な民間開発を誘導する際に、高さ規制緩和とセットで国に働きかける取組が必要と考えます。具体的プロジェクトが見えると国も動きやすくなると考えます。
また、大和市は従前から国に高さ制限に伴う経済的、財政的損失を補う新たな補助、交付金制度の創設を求めていました。しかし、具体的な要望内容ではなかったので、その具体案として地下部分への補助制度を提言しました。答弁でも防衛補助制度の見直しを図るよう求めていくとのことでした。民間の建築地下部分の工事費への補助制度に関しては、ぜひ強く働きかけていただくことを強く要望します。
これは、最近東京都や国でも進めようとしている地下シェルターにも合致します。企業活動振興条例の対象業種拡大や、産業用地創出奨励金については、いずれも前向きな答弁でした。ぜひ実現していただくことを要望します。
現在の産業関連の補助制度はロボット産業を意識し過ぎた制度内容に偏り、その後の産業構造の変化や成長産業の変化に対応し切れていないと感じます。今後の大和市の産業政策においては、常に産業構造やニーズの変化を捉え見直しすることを強く要望します。
また、質問内容には含めませんでしたが、大規模土地取引行為の届出対象の面積を3000平方メートルに引き下げ、併せて産業用地創出奨励金制度の対象とすることについても要望します。質問の中でも述べましたが、法人市民税を確保する4つの方策の中で企業の流出防止も重要であり、データはありませんが、3000平方メートルから5000平方メートルまでが最も戸建てやマンション等の宅地開発に転用されるケースが多いのではないかと推測しています。ぜひ実態把握の上で検討することを要望します。
オープンイノベーションに関しては、大和市における地域課題解決、新たなサービス、新製品開発などの企業を公募して支援することを提案しましたが、ハード、ソフトなど幅広く使いやすい制度設計を行い、ぜひ実現することを強く要望します。
最後に、繰り返しになりますが、追い込まれて行財政改革プログラムを立ち上げるのでなく、長期財政収支予測による将来の歳入不足を明らかにして住民理解を求めながら、事務事業評価などで効果を吟味、選択して事務事業を取捨選択し、財政を安定させながら将来の大和市の発展につながるまちづくりや産業振興の予算を確保していただき、さらには、将来の瀬谷のテーマパーク等の経済効果を取り込むためのインフラ整備などを地方債などで対応して、活力と魅力のある大和市の実現に共に努力していきましょう。私どもも古谷田市長を全力で支援します。共に頑張りましょう。
以上で渡辺伸明の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。ブログ全記事はこちら
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